2023年1月現在、タッチパネルに指を滑らせ立ち上がらせる声は、現実で空気を震わせ届く声と同等か、もしくはそれ以上の響きを持つ。実に不気味な世の中、とはいえもはやリアルの人生の一部となり、切り離すわけにもいかないSNS、それへの立ち向かい方は人々の頭を悩ませる現代病の一つだろう。
そんな最中、去る2022年7月22日、韓国にてデビューした5人組グループNewJeansに、僕は猛烈に入れ込んでいる。彼女らは、現代の逆風にさらされまくり。布面積の少ないあられもない姿での、見る側を挑発するような刺激的なダンス。Y2K全開の強烈な衣装とプロジェクト。さらに輪をかけて、そんなルックを掲げる彼女ら5人はみなティーンネイジャー。これはどうやらさらされているというよりは、自ら風上に向かっているっぽい。ルッキズムが隆盛を極める現代のコードを意図的に無視した、鮮やかなアナーキズムの精神。31歳中年男性、無邪気に愛せません!難易度モンスターボックス25段並み!しかしそれもそのはず、彼女らは僕のような世代層など眼中にすらない。NewJeansにはまさにこの今、人前で歌い踊る確固たる理由がある。
Attenntion、Hype Boy、Cookie、Hurt、Ditto、OMG、、、、自己愛、恋愛、欲望、感傷、焦燥、、、、、NewJeansはティーンをめぐる多様かつ過剰なエモーションをすべて歌い尽くすつもりらしい。顔の見えない大人たちはそれを見て心配ふうを装い、我々を慮れとばかりに「未成年のクリエイティブとして」だとか「もっとヘルシーに」などととやかく言うだろう。そんなのはコソコソ言わせておけばいい。繰り返しになるが、なんせ声高に説教を上げる大人などハナから眼中にないのだから。彼女らが歌い踊り体現するスタイルに共鳴し、憧れるのは誰か?それはほかでもない、刹那の輝きを無意識に携え、痛みや過ちを抱えるティーンとして同時代を生きる市井の若者たち(=New Genes)なのだから。社会への冴えない嘆きやいっちょ噛みしか楽しみがないくすんだ大人である僕は、ノンポリバニーズとして彼女らの過ごす美しい時間を見届けます。
☆NewJeansの好きな歌詞ベスト3☆
1.My heart is glowing, It’d be glowing(OMG)
2.La-ta-ta-ta 高鳴る心臓 (Ditto)
3.I’m not gonna be the one to get hurt(Hurt)